1番金子侑司は秋山翔吾になれるか〜空いたポジションの代役を考える〜

コラム(オピニオン)

西武ライオンズの金子侑司選手が苦しんでいます。2019/5/2終了時点で打率.229、出塁率.303とパッとしない成績です。

一方で盗塁は既に13個決めており、足では存在感を示しています。とはいえ1番打者として物足りない成績です。そう思わせる要因は何でしょうか。それは、昨年まで1番を務めた秋山翔吾選手の存在でしょう。

秋山選手は昨年、1番として大活躍しました。しかし、今年は打順を1番から3番へと変えています。その背景には、昨年3番として素晴らしい成績をあげた浅村栄斗選手が、FAで楽天に移籍したことにあります。つまり、秋山選手が3番に移動することで、1番打者のポジションが空いたのです。

抜けた穴をどう埋めるか。これはどの球団も同じ悩みかもしれません。ただ、この抜けたポジションを埋める選手が現れることは、チームの戦力にとって非常に大きいことでしょう。もちろん、その選手にとっても大きなことです。

本記事では、「抜けた穴をどう埋めるか、空いたポジションを誰が務めるのか」、これらにまつわる考え方を取り挙げ、最後に金子侑司選手について考えたいと思います。

*この記事は2019年シーズンについて書かれたものです。

抜けた穴を埋め、大ブレイクした巨人の岡本和真

例えば、昨年(2018)大ブレイクした巨人の岡本和真選手です。一昨年(2017)主にサードを守った村田修一選手が退団し、その後釜としてプレーしました。結果は、史上最年少で3割30本100打点を達成するという素晴らしいものになりました。そして、4番としてチームを支え、チームの顔になるまでに成長したのです。

岡本選手は一昨年まで、期待されながらも1軍では結果を出せないでいました。しかし、村田選手がいなくなり、1枠空いた選手枠を岡本選手が勝ち取ったのです。

岡本ブレイクの理由

なぜ岡本選手がこれほどまでにブレイクしたのでしょうか。この理由にはもちろん、岡本選手がこれまでに1軍と2軍を行ったり来たりしながら努力を重ね、経験を積んできたということは言うまでもありません。しかし、それに加えて、村田選手が退団して1枠空いたことも大きかったのではないでしょうか。岡本選手は、「ヨシ、俺がやらなきゃ誰がやる!」そんな気持ちになったのではないでしょうか。

名将ノムさんこと野村克也監督はかつてこう言いました。

地位が人をつくり、環境が人を育てる

野村克也

この言葉は、その地位になった人はその地位にふさわしい人間に成長するという意味だと私は解釈しています。野球で言えばキャプテンなどの役割、また、レギュラーや打順などもその例に挙げられるでしょう。岡本選手にもこの言葉が当てはまるのではないでしょうか。巨人の4番サードという地位が、彼の成長を後押ししたと考えてしまいます。

もちろん、村田選手退団の裏には思惑があったという噂もあります。生え抜きのスター候補である岡本選手の出場を増やしたいという狙いがあったのです。とはいえ、巨人の4番サードというプレッシャーをチャンスに変えて活躍した岡本選手はあっぱれという他ありません。まさに、地位が岡本選手をつくり、その環境が岡本選手を育てたと言っても過言ではないでしょう。

その地位を確約してはいけない〜落合博満監督の戒め「立浪の例があるじゃん」〜

このように、地位や環境の変化によって大成する選手もいます。しかし、その地位を与えたからといって、必ずしも良い方向にいくとは限りません。これについて、元中日監督の落合博満氏は、2018年ドラフト1位入団した根尾昂選手のポジション争いについて、以下のように言及しています。

(ショートの)京田と競争させればいいじゃない。そのままポジションを与えるのは大反対。

出典:スカパー!プロ野球ツイッター公式アカウントでのライブ配信「落合博満のオレ流野球談議」

さらに、1987年にPL学園からドラフト1位入団した立浪和義氏を例に挙げました。

過去にそういう例がある。結局、立浪はショートできなくてセカンドに回ったんだから。

出典:スカパー!プロ野球ツイッター公式アカウントでのライブ配信「落合博満のオレ流野球談議」

立浪氏は1988年にデビューし、新人王やショートのゴールデングラブ賞を獲得しました。しかし、その後の1992年に自らセカンドへのコンバートを志願していました。

立浪氏は怪我の影響もあってのコンバートとなりましたが、落合氏が言いたいことは「そのポジションや地位は競争で勝ちとるものだ」ということではないでしょうか。

このように、地位やポジションがその選手を育てる一方で、それらを「確約する」ことによる弊害もあるのでしょう。

1番金子侑司は秋山翔吾になれるか

さて、これらを踏まえて、西武ライオンズの1番の地位を与えられた金子侑司を考えてみます。

1番という打順については、打率はもちろんですが、出塁率がより重要になります。その出塁率について金子選手の成績を見てみると、.303となっており、1番として物足りません。*5/2終了時点

物足りない理由は何でしょうか。私は以下の2点だと考えています。

  1. 打席数が多いため1番の出塁が得点の有無に影響しやすいこと
  2. 金子選手は塁に出てなんぼの選手

1.打席数が多いため1番の出塁が得点の有無に影響しやすいこと

1番が出塁できなければ、得点する確率は自然に下がってしまいます。しかも、打席数が多いため、その影響は試合数を重ねるにつれて大きくなるのです。そのことが、試合の勝敗にも大きく影響すると言っても過言ではないでしょう。

2.金子選手は塁に出てなんぼの選手

金子選手が出塁できれば、盗塁などの足を使った攻撃で相手に脅威を与えられます。しかし、出塁できなければ意味がありません。もちろん、相手チームには打者として金子選手の内野安打なども警戒すると思います。しかし、ランナーとしての金子選手の方がより嫌な存在でしょう。

避けられない去年の1番との比較

また、どうしても避けて通れないのが昨年1番の秋山選手との比較です。

2018年シーズンの秋山選手は打率.323で首位打者を獲得し、出塁率も.403と圧倒的な成績を残しました。この秋山選手と比べるのは金子選手にとっては酷ですが、金子選手にも秋山選手の出塁率を目指してもらいたいものです。少なくとも、出塁率.350は1番打者として残しておくべきだと思います。

ちなみに、金子選手の昨年の出塁率は.303でした。これは今年の5/2終了時点の出塁率と同じです。そういう意味では、金子選手の出塁率は、今年も「いつも通り」です。

しかし、昨年の金子選手は主に下位打線を打っていました。ですが、今年は1番打者です。求められる期待値が違います。

だからこそ、金子選手は秋山翔吾選手の成績を目指し、超えなければなりません。そのためには、何かを大きく変えなければいけないことは明らかです。何かを変えなければ、昨年と同じような成績で終わるでしょう。

しかし、私はこの「何かを変えなければいけない状況」こそが、「人をつくり、育てる」ための根本要因だと思うのです。

全てはシーズン後に分かる

野村氏の名言である「地位が人をつくり、環境が人を育てる」という言葉。この言葉が良い方向にいけば、金子選手は大きく成長し、チームに勝利をもたらすでしょう。

しかし、そのポジションにいることに甘んじ、ふさわしい成績を残せないでいると、
落合氏の言う「失敗例」となってしまうかもしれません。

果たして、金子選手の1番打者はどうなっていくのか。その是非はシーズン終了後にしかわからません。

まだ2019年シーズンは始まったばかりです。金子選手が「何かを変えなければいけない状況」を打破できるか注目していきたいと思います。

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