2018シーズン退団する選手で、印象的だった選手がいます。それは、次の2選手です。
ブライアン・ウルフ選手
ブラッド・エルドレッド選手
彼ら2人は日本球界で長く活躍し、人柄としても優れているなと感じます。ウルフ選手は引退見込み、エルドレッド選手は現役を続ける予定だそうですが、日本球界を離れるという意味でとても寂しいです。
今回はそんな2選手を振り返りつつ、印象的だったことを挙げ、彼らの功績を称えたいと思います。
ブライアン・ウルフ選手
まず埼玉西武ライオンズのブライアン・ウルフ投手です。ウルフ選手は日本で2010年からプレーしましたが、今シーズンで引退する見込みとなっています。日本ハム、ソフトバンクを経て、2016年から西武ライオンズでプレーし、今年のライオンズの優勝にも貢献しています。今シーズンの成績は、先発として4勝4敗、防御率4.77とパッとしない成績でしたが、西武ライオンズの先発ローテーションを支えました。
見事なカムバック
僕のウルフ選手の印象に残っていることは2つです。1つ目は見事な復活劇です。日本ハム時代には先発として活躍するも、ソフトバンク時代の2014年の5月に肘を痛めて降板してしまいます。そこからトミー・ジョン手術を受けて2015年に復帰するも、わずか2試合の登板に終わってその年のオフに自由契約となってしまいます。この時の日本プロ野球の関係者は、ウルフはもう終わったと思っていたことでしょう。
しかし、その翌年の2016年の7月に埼玉西武に入団し、先発として4戦4勝と快進撃を見せます。さらに2017年には23戦に先発して9勝4敗の成績を残し、ライオンズの2位でのクライマックスシリーズ進出に大きく貢献します。
このような復活の裏には、肘を痛めて手術を受けてからの長いリハビリを耐え、淡々とチャンスを待っていたウルフ選手の真面目さや忍耐力があったからでしょう。
職人気質なところが日本人っぽい
次に2つ目に印象に残ったことですが、ウルフ選手の人柄です。一言でいうと職人気質です。
本当に淡々と仕事をこなすのです。投げていても本当に喜怒哀楽を見せず、自分の投球に集中しているという印象を受けます。それは活躍した時のヒーローインタビューの時も同様です。自分が活躍して喜びたいと気持ちを抑え、質問に丁寧に淡々と答えるのです。
もちろんたまにはイライラしているように見えますが、”黙って目の前のことに魂を注ぐ”、そんな姿から職人気質を感じさせられました。このようなことから、日本人っぽさを感じます。
ウルフ選手まとめ
また、ウルフ選手は居酒屋一休のCMにも出演していますが、ここでもあまり乗り気ではないのがまたおもしろいです。ここでもウルフ選手らしさが出ていますね。来年見られないのも残念です。
さて、ウルフ選手をまとめます。彼は日本球界で9年も活躍した優良助っ人選手です。パリーグの3球団に所属し、そこまで人気があったかは分かりませんが、選手としては十分な活躍をした選手でしょう。また、その真面目さや実直さに好感を持っているファンもいたと思います。僕もその内の一人です。
実は、ウルフ選手は昨年の2017年のオフに引退する予定だったのですが、埼玉西武側が引き留めて1年間延長して現役を続けていたのです。その男気に敬意を示し、その延長した今年でリーグ優勝をできたことに「おめでとう」と言いたいです。
そして、9年間の日本球界での活躍を称えたいと思います。
We are proud that you are accomplished here in Japan.
ブラッド・エルドレッド選手
次に広島カープのブラッド・エルドレット選手です。エルドレッド選手は今季限りでカープを退団しています。今シーズンは怪我等であまり活躍できませんでしたが、7年間も広島カープに貢献しました。
日本では通算で2169試合に出場し、打率は.259、ホームラン133本を放ち、370打点をあげています。特に、2014年には37本でホームラン王を獲得しており、そのパワーで他球団に怖れられました。また、2016年に21本、2017年に27本の本塁打を放ち、リーグ優勝にも大きく貢献しています。
配球を読むなど研究熱心
エルドレッドの選手の印象に残っていることは2つです。1つ目は、配球などを研究して打席に活かすなど、勤勉さを持っていることです。
彼が来日した2013年当初のイメージは、ボール球を振って三振し、それに対して怒っているというものでした。でも、実際に三振する確率を表すとされる三振率(三振率=三振数/打席数)を見てみるとそうでもないようです(グラフ1)。とはいえ、最初の頃は結果が出ないことも多かったそう。
しかし、そこから配球の勉強をし、リードを読むようになった結果、ホームラン量産に繋がっています。三振率の推移(グラフ1)の2014年を見ると、三振の数も多く三振率も高いものの、37本塁打を打ってホームランを王を獲得しています。この裏には、三振を怖れずに狙い球を絞り、その球を確実に仕留めていることがうかがえます。
とはいえ、狙い球も精度が高くないと意味がありません。ですから、狙い球を選ぶ上で、”インコースで仰け反らせ、ボール球の変化球を振らせる”などといった日本野球の配球を学んだのでしょう。配球を研究して活かして成功した例には、DeNAベイスターズのラミレス監督(当時選手)が有名ですね。彼は成功した秘訣を聞かれると、”配球を研究した”と常々語っています。
また、日本の文化にふれ、日本野球の緻密さに触れることで、リード(配球)の読みにつながってのだろうと推測します。日本の投手がメジャーリーグのようにどんどんストライクをとってパワーで勝負してこないことや、フォアボールを出しても全然平気と思っていることなどは、実際に普段から日本人と接していく中で実感していったのだと思います。
例外もあります。上原投手がメジャーリーグに行く前の巨人時代、フォアボールを出して涙したエピソードは今でも語り草となっています。なぜ涙したのでしょう。それは、当時松井秀喜選手とホームラン王を争うヤクルトのペタジーニ選手に対し、敬遠四球をベンチから指示されたからです。上原選手は「俺は抑えられる」と思っていたのでしょう。このように、フォアボールを嫌がり、逃げずに勝負することに燃える投手もいます。
このように、エルドレッド選手は配球を学びながら成功しましたが、彼のその向上心は続いています。2017年には同僚のルナ選手と配球や打席でのアプローチについて話し合い、刺激を受けたとされています。
日本に溶け込もうという姿勢、優しい人柄
2つ目は、彼の人柄の素晴らしさです。異国の日本という国に溶け込む姿勢と、人を大切にする人柄には感服させられます。野球のためとはいえ、なかなかできることではありません。
ファンとの繋がりも大切にし、広島市内をママチャリで移動する姿が度々目撃されているなど、広島にもすっかり馴染んでいたようです。また、通訳なしで会話するなど、日本語にも長けているようです。広島カープの石原選手は「彼の日本語のリスニング力は侮れない」と述べています。
さらに、ハワイ優勝旅行に参加したエルドレッド選手のファンに向けたコメントを見ても、その優しい人柄が伝わってきます。
まず最初に首を痛めて戦列を離れるときに、こういった形で退団になるとは分かっていなかったので、みんなに「さよなら」という別れを伝えられなかったのはすご後悔しています。こういった形でコメントをすることになるのですが、7年間ファンの人たちの存在がなければ、ここまでやって来ることができなかった。忘れらない人生の思い出になっています。7年間、しっかり支えられて今の自分があると思います。感謝の気持ちをみなさんに伝えたいと思います。
ソース:日刊スポーツ
エルドレッド選手まとめ
ファンからは「ブラッド」「エル」との名前で親しまれ、チームメイトからは「カントリー」という愛称で慕われていたエルドレッド選手。
7年間という長期間に渡ってカープを支えました。2016年から2018年までの3連覇へ貢献したことはもちろん、2012年から3位と4位をいったりきたりしていたカープの”上昇準備期間”も支えたのです。
彼はホームランによる貢献以上に、チームに与えた影響も大きかったことでしょう。
そしてカープファン、ひいては広島全体から愛されています。その証拠に、広島地元放送局ではエルドレッド選手の特番も組まれました。その番組紹介タイトルも秀悦でした。
僕もその言葉と共に、彼の雄姿を胸に刻みたいと思います。
誰よりも広島を愛し、広島に愛され男
追記(2019/8/20)遂に引退を決断
日本球界復帰目指して浪人中だったエルドレッド選手ですが、遂に引退を決断したことが分かりました。
本当にお疲れ様でした。